2007年09月05日01:00
今月もやってまいりました。
納期でーす。
では一本目。
ただ、演出的に没?かもね。
そうなると、読めるのはMIXIだけになりますね・・・。

いや、出来れば採用してやって頂戴!

ではお楽しみください。
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【コンサート】

脚本 中山あきら
エピソード提供 夢追い人

徹 夏が終わった。10月。俺は、涼子のコンサートに行くか行かないか、まだ悩んでいた。携帯電話がなる。清美からだ。
清美「ねぇ、結局来ないの?まだ間に合うわよ?迎えに行くから。」
徹「ああ。もう気持ちの整理もついたし。いいんだ。行かない。」
清美「そう・・・。」
徹「由美ちゃん、遅れちゃうよ?」
清美「うん・・・。じゃ、気が変わったら、7時だからね。コンサート。ね。待ってるから。皆。」

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涼子が去年、ボーカルオーディションにエントリーした時、頑張れよ、って本当に思っていた。昔から歌うことが大好きで、いつでも歌っていた涼子は、オーディションでグランプリを取ったかと思うと、ラジオでパーソナリティーをやったり、イベントで歌ったり、あっという間に忙しい毎日になった。
涼子とは会うことが少なくなったが、代わりにあぶれた清美と一緒にすごす時間が増えた。話題は涼子の話ばかりだ。まだ肌寒い冬の終わりの頃だった。

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徹「清美ちゃん、こっちだよ」
清美「こんにちは。今日はあったかいね。もうすぐ春がくるね!」
徹「そうだなぁ。春かぁ」
清美「ねぇ!涼子、今度CDの収録なんだって!すごいよね。夏ぐらいに発売するんだってさ。私もCD出したい!」
徹「清美ちゃんも頑張ってオーディション受けたら大丈夫なんじゃない?歌、うまいじゃん。」
清美「もちろんじゃない!今年は駄目でも来年は絶対グランプリ取っちゃうんだもんね!」
徹「今年も受ければいいじゃない。今年はやらないの?なんで?」
清美「えへへ。実は、秋からアメリカに行くのよ。私達。」
徹「私達?」
清美「うん。私達。私と涼子。だからオーディション今年はNGなの。」
徹「へぇ・・・。ど、どのぐらい?どこに?」
清美「音楽といえばJAZZ。JAZZといえばアメリカ。アメリカといえばニューオリンズに決まってるじゃない。っていうか、涼子から何にも聞いてないの?」
徹「ま、最近全然合う機会も無いしね・・・。」
清美「そっか・・・。」


 清美は昔から、涼子に俺が気があることを知っている。ま、彼氏でもないし、彼女でもないけど、友達でもなく、かといってお互いに良く知ってる間柄ではある。
グランプリを取ってから、様子が変わってしまった。もちろん、自慢だし、ほんとに喜んだ。けど・・・。今はちょっとした嫉妬を音楽に、歌に抱いている。まるで歌と結婚しかねない涼子に、少しは俺も振り返って欲しい、って思ったりしてる。ま、かなわぬ夢、だな。こりゃ。本格的に・・・。

清美「涼子はグランプリとって行くでしょ。私は帰ったらグランプリ取るでしょ。そうすればCD出すわけよ。」
徹「CD、ね」
清美「あんまり興味なさそうだね。」
徹「あ、ごめん。興味なくないさ。いつ発売?」

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それからもあっという間だった。今日はコンサート。このコンサートが終わると、涼子はアメリカに行ってしまう。

さっきの清美ちゃんの電話がぐるぐる回っている。

清美「ねぇ、まだ間に合うわよ?いかないの?」
清美「気が変わったら、7時だからね。コンサート。ね。待ってるから。皆」

10月8日。19:00。
イコウと思えばまだ間に合う。
見ておきたい気もする。
見られない気もする。
見ていられない気もするけど。
見ておかないといけない気もする。

また携帯がなった。
今度はメールだ。

清美ちゃんからだ。「今、今年のオーディションの決勝大会が始まったわよ。一人目聞いただけなんだけど、うますぎる!!!私は海外行って帰ってきてもグランプリ無理かも・・・。ところで、もうそろそろ家出ないと見れなくなっちゃうよ!とにかくキナサイ!」

うん。正直、行きたいんだよね。でもやっぱり歌に嫉妬してる。行くとぶち壊すか自分が壊れそうでいけない・・・。

また携帯がなった。
またメールだ。
なんだ・・・。迷惑メールか・・・。
出会い?
おいらは今出会いじゃなくて別れでいっぱいいっぱいなんだよ・・・。
ほんとに迷惑なメールだな。

また携帯がなった。
また清美ちゃんか。
「涼子になんで徹はいないの?って聞かれたから正直に言っといたよ。行きたくない!って言ってたって。涼子、泣きそうになってたよ。」

また携帯がなった。
今度は電話の着信だ。
清美ちゃんだ。
清美「涼子、歌を徹君に聞いて欲しいって」
徹「そうかな・・・」
清美「チャレンジせずに後悔したくない、って。涼子そう思ってる。」
徹「後悔したくない、か。」

清美「ね?応援したげなよ。だから・・・。」
徹「そうだな・・・。」


生返事で電話を置いた。
また携帯がなった。
メールだ。
涼子、からだ。
「徹君。今は歌が私の全て。でも、歌ってる姿、徹君に見てもらいたい。今の私の歌を徹君に聞いて欲しい。そして、また戻ったらそのときの歌も徹君に聴いて欲しい。」

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呼び出し音
徹「あ、清美ちゃん?」
清美「徹君?」
徹「近くに、涼子ちゃん、いる?代わってもらえそう?」
清美「うん。ちょっとまって・・・。(遠目に 涼子ぁ~。徹君、代わってって)」

涼子「もしもし?」
徹「ちゃんと聞きに行くから。頑張って歌えよ!」

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声の出演

涼子 -考え中
清美 -加納いずみ
徹 -中山あきら

ちなみに、結構、音楽家にうちうちには非常に現実的によくあるおはなしですか・・・。音楽を取るか恋人を取るか、ミタイナ。
結局、音楽取っちゃうやつがほとんどですね。いつも理由は一緒。「チャンスは二度と来ないから」。

うーん。
どうなんでしょうね。
ちなみにおいらにはそういうこと、ありやせんでした。はい。