こんな時、皆さんだったらどうしますか?|ケーススタディ
さて。
今日はちょっとケーススタディー的なブログを書こうかと思います。
皆さんだったらどうしますか?
という問いかけで始めてみましょう。
あるスポーツチームに小学生の自分の息子がいる男 Nさん の話です。
彼はそのチームのコーチもしていて、息子もいるので、練習は欠かさずに顔を出しています。
このチームに子供のころ6年ほどお世話になっていた卒業生です。
高校では副主将をしていたようです。
流石に息子が自分の卒業したスポーツ団体に入る、となれば喜んでいます。
事務局からコーチを、と言われた時は渋りながらも、やるからにはちゃんとしておこう、と思っている、
そんなタイプです。
ある日、その団体は試合に出かけました。
Nさんの家も総出、Nさんもコーチ兼保護者として出かけます。
会社では大きなプロジェクトが動いていて、スタッフにこの日家族の理由で出勤しないことで頭が上がりません。
Nさんはコーチもしているので、もちろん息子さんの同じ学年のチームの生徒さんたちの面倒もみます。
少し遠い場所だったので、前日に宿をとりました。前ノリ、というやつです。
遅い仕事上がりで、現地のホテルに到着したときは夜中でした。
翌朝。
集合時間から計算して1時間ぐらい前に現地につくよう、余裕を持って宿から出かけました。
それでも、会場につくと、それより前に到着している生徒さんたち、コーチ、家族、が結構いました。
この気合の入りようであれば成績はよいかもしれない、そう感じる集まり方です。
会場についたNさんは、自分にできる手伝いをしようと思い、主任コーチの周りをうろうろとします。
そして、いつも通り、息子君がいる選抜チームのフォローをすることにしました。
コーチとして特定の仕事を割り振られているわけではないので、なかなか自由です。
逆に言えば、コーチといっても父兄に毛が生えた程度の立場、でもあります。
心の中では息子くんが試合で活躍するのを楽しみに、世話を焼いています。
とはいえ、息子ばかりを気にしていてはチームのお世話にはなりませんから、むしろ息子君を中心に世話を焼くわけでもありません。
Nさんは、他の子たちに積極的にかかわろう、と、そのように考えています。
今回の試合はトーナメント戦です。勝てば次の試合、次の試合、4回勝てば優勝です。
さて。試合が近づいてきます。団体の誰しもが心に余裕がない中、第一試合が始まり、終わりました。
快勝。
次の試合に挑むことになります。
普段は練習に少ししか顔を出さない、けれども、チームのキャプテンをしている子供さんのお父さんコーチ Mさんが、
今回どうやらチームを仕切っている、という事を感じたNさん、年長者としては配慮して行動するように、と考えます。
Mさんは、Nさんの高校の後輩で、一緒に過ごすことはない程度に年齢が離れています。
OB会などで顔を合わせることがある、ぐらいの関係です。
実際、同じ高校の後輩なのかどうか、確認したことはありません。
卒業生でなくても、仲間内に入れることは普通にあるので、後輩ではないのかもしれません。
勝利したので、解散前に次の試合時間を確認して、10分前集合を伝えます。
最初の試合をした時に集まったグランドの一角に、10分前。
さほど時間に余裕がなく、5分程度しか集合時間までにはありませんでした。
Nさんは、自家用車に置いてきた、クールダウンのツールを取りに行くことにしました。
ムスメちゃんが追いかけてきて、弟の活躍を願っている、そんなことを話しながら往復。
丁度集合時間です。
集合場所へはほとんど丁度の時間に到着。
到着してみると、チームのメンバーで、自分の息子だけが一人、何もせずに突っ立っています。
不思議に思って周りを見ると、フォワードのメンバーは3人集まってモールとパスの確認をしています。
息子以外のバックス3人は、メインに落ち着いているMさんに、パスの練習を受けているようです。
7人のうち、一人だけが浮いている状態でした。
Nさんは、親としてではなく、コーチとして、息子君に言います。
「どうして混ざらないの?」
すると、息子くんが言います。
「さっき一度混ざったんだけど、今はいらない、って言われた。」
普通、試合前にはパスの練習などせずに、メンバーで円陣を組んで意思疎通を図ったりしないか?
特に、4試合もある一日のスケジュールを考えたら、体力温存で極力無駄な運動はさせないとか考えないのか?
ましてや、息子じゃなかったとして、一緒に戦うメンバーが一人だけ放置されているのは少々異常事態ではないか?
Nさんは疑問がたくさん出てきましたが、それを生徒さん(=この場合息子くん)に悟られても困るし、勘繰られても困るし、いつも通りのリアクションをします。
「なるほど。さっきはいらないって言われたんだね。今は、ここで見ているから混ざってきて。いらない、ってことはないと思う。」
そういって背中を押して、バックス3人のところに促します。
積極的ではないにせよ、ラインには加わった、そんな印象でした。
Nさんはそれを見ながら、(試合前のこの時間帯にエンジンを組まなくていいんだろうか・・・)と思いながら、Mさんの行動を見守ることにしました。
大人、なのだから何か考えを持っているだろう、と。
Nさんは、その同じ頭で別のことを考えます。
一人かけていても試合前に教える事柄、って何だろう??
Mさんは自分の息子にあるプレイを教えていました。
そのために、Mさんの子供にボールを渡す1名、その後パスを渡す相手が1名。合計3名の生徒さんに話をしていた、という事が分かりました。
NさんはMコーチの様子を見て、試合前に絶対に必要なことをしていない時点で、一応年長者として、話をしようかと思案しました。息子に教えるのは別の機会にしたらどうか、試合前にすることが別にあるのではないか、と。
Nさんは、別のスポーツもしていましたが、その時の大人、先輩たち、もちろん監督さんがしていたことを大切だと思っています。
試合前に絶対に必要なことは、組織の確認だ、と思っている、という事です。
バレーでもバスケでも、陸上でも水泳でも、チームの一員だという自分の存在の安定感から勝利を得ることもあると感じるぐらい、仲間の力は大きいものです。
・勝つぞ、という目的意識の共有。
・メンバーで一緒に戦うんだ、という協業の姿勢。仲間としての絆とも言います。
・コミュニケーションの必要性を直前に確認する メンバーが精神的に個人個人もし不安定であっても、試合に挑むときは仲間同士の会話で同じレベルで会話ができ、集中できる環境が必要です。
Nさんはそう思いながら、実際にMさんの教えている内容を見ていて、ふと思います。
(教えている内容そのものを戦略として使えるなら、ことを荒立てずに修正できるかもしれない。揉めずに乗っかって、早めに円陣に移行しよう)
そう考えて、ハレーションを起こさないようにMさんの息子への指導を避け、他のメンバーの所作を教えることにしました。
自分が経験していたポジションをやっている生徒さんの一人に近づき、
「このプレイをするときのポイントは〇〇するところにあるんだよ」
と声を掛けます。
すると、生徒さんが言います。
「コーチにはこうするように言われたので、それは違います」
Mさんが教えた通りにプレイをしようとしているのだ、と瞬間に理解します。
ですが、そのポジションを現役で経験していたNさんは、その指導内容が、まったく間違っていて、使えない内容だとも瞬間に理解します。
子供にそれをどう理解してもらえばよいやら・・・これは厄介だな、と感じているときでした。
そこに、Mさんが声をかけました。
「方針が違うので!!!今やっている練習は違うんですよ!!!」
Nさんはその時、自分が何を言われたのか、瞬時に理解できませんでした。
(方針???練習にすべて付き合っているけれど、この場面で言われるような方針とは?このプレイになんの方針がある???)
(この作戦プレイでそんな所作はしないし、そんな行動をしたら相手にたおされてしまう。もしかして本当はわかっていない人なのか?ありえないことをMさんは教えているのか???)
(試合のチームの時間に個別指導を優先することが方針なのか?しかも「息子」可愛さが先になっているのか?まさか???)
(このプレイをMさんの息子さんがするにはスピードが足りないし、できるとして、覚えられるのは高校生でも難しいかもしれない。小学生に、しかも試合の直前に教えられるのか??)
Nさんは自問します。
この場面ではMさんに任せて、口を出さないようにすべきなのか、と。
数秒まって、NさんはMさんに向かってではなく、生徒さんに話しかけます。
「もし、試合中に今やっている場面になったら、どうなるか、だけ説明するね。」
そういって、なぜその所作が間違っているのかを具体的に示しました。
その時にMさんが近寄ってきて、彼が考えていたことを伝えてきました。
「子供には難しいだろうと思って、ここでパスをしてもいいと言ったんです」
そこでNさんは、Mさんが思い付きで指導していた、という事に気づきました。
現実には、深い考えはなかった、そう受け取るのが自然に思えました。
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お話はここまで、です。
さて。
皆さんならどうされますか?
親として?
コーチとして?
子どもたちへの立場や軋轢などの影響は?
今日のブログは以上です。