2007年07月04日01:07
【セキュリティー】
 脚本 中山あきら エピソード提供 警備員A
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隆「なぁ、ひとし、知ってるか?うちの会社、出るらしいよ」
仁「でるって?なにが?」
隆「幽霊幽霊。知りたい?知りたいのか?」
仁「いいよ。おれ、怖い話、苦手だし・・・」
隆「あれ?聞かないんだ。人がいないのに動くプリンターの話。」
仁「こらこら。苦手だってば。いいよ。話さなくて。じゃ、お客さん待ってるしさ」
隆「待ってるって。もう六時ジャン。今から営業かよ。ちぇっつまんね。」
仁「ま、また時間があるときにな!行ってきま~す!」

千里「ええっ!やっぱりほんとだったんだ。出るんだね・・・。」
里美「でるらしいよ~。あれ、千里、どうしたの?」
千里「うん・・・。ちょっとマニュアルの印刷、納期に間に合わなくて、今日、これから残業しないといけないんだよね・・・。」
里美「残業?するの?何時ぐらいまで?ちょっとなら付き合おうか?」
千里「うん・・・。でも何時までかかるかわかんなくて・・・」
里美「そっかぁ。よし!今日は出ないようにお祈りしてあげよう!」
千里「今日はでないようにって・・・。幽霊、いる前提で話さないでよ・・・。」
里美「ごめんごめん。でもさぁ、こないだは夜中に階段駆け上がる足音がするのに、誰もいな」
千里「やめてっ!もうっ里美っ!」
里美「ごめんごめん。じゃ、おっさきぃ~」

隆「あ、里美ちゃん。今帰り?」
里美「あ、山崎さん。ええ。どーもお疲れ様です。あ、そういえば、仁さんに話、してくれました?」
隆「あ、あぁ、うん・・・。ごめん。あいつ、忙しそうでさぁ・・・」
里美「山崎さん、お願いしますよ~。任せろっっていうから待ってるのに。千里、積極的だから自分で言っちゃうかも知れませんよ。」
隆「え~!出番なくなっちゃうジャン。任せろって。うまくやるからさぁ。」
里美「当てになんない感じ・・・。」
隆「まぁ、そういうなよ。なっ!で、今日、予定あるの?俺は里美ちゃんとご飯行きたいんだけどな」
里美「残念でした!予定入ってますから。じゃ、お疲れ様でーす。」
仁「あ”ー。づがれだー。結局相談だけで契約してもらえんかった・・・。あれ?会社の2階、電気ついてる。まだ誰か仕事してんのかな・・・。こんな時間にめづらしいなぁ。ま、いっか。」
里美「あ”-。づがれだー。結局元の資料が間違ってるんじゃん・・・。あれ?営業車帰ってきた。誰だろう。仁さんかなぁ。お茶、持ってってあげよ。」
仁「あ、千里ちゃん。まだ仕事してたの。」
千里「こんばんは。残業お疲れ様でーす。はい。お茶、どうぞ。」
仁「あーありがと。助かる!
千里「うまくいきましたぁ?」
仁「うん。ま、契約にはならんかったけどね。」
千里「そうなんですか。残念でしたね・・・。」
仁「あはは。聞くだけ聞いて終り、みたいな」
千里「ところで、山崎さんから、何か聞いてません?」
仁「あ、ああ。お化けが出るって話でしょ。内容は聞いてないけど、プリンターが勝手に動く、とか。」
千里「えっと、そういうんじゃなくて・・・。ご飯食べに行こう、ミタイナ話なんですけど。」
仁「ん?隆と?」
千里「えーっと。・・・私?と?」
仁「え?千里ちゃんと?俺と?誰?」

ゴトっ!
仁「ん?なんか音しなかった?」
千里「ええ・・・。しましたね」
仁「残ってるの、俺と千里ちゃんだけ?」
千里「2階は私だけでした・・・」
仁「じゃ、二人だけだね・・・。」
ゴトっ!
千里「やっぱり音しましたね・・・。外?かなぁ・・・。」
仁「・・・でる、んだっけ。」
千里「・・・。でる、らしいですよ」
仁「・・・。おれ、苦手、なんだよね・・・。」
千里「私も怖いのはちょっと・・・。」
ゴトゴトっ!
仁「・・・。ショールーム?のほう?」
千里「・・・。階段?のほうですね・・・。入り口?のほうですよ・・・。」
仁「見にいく?」
千里「ええっ!む、無理です・・・。あーん。里美、ちゃんと祈れてないじゃんか!」
仁「俺も無理だな・・・。」
千里「あ、足音だけ聞えて、誰もいないっ~~て・・・。
仁「誰もいない?」
千里「里美がそういう幽霊がいるって・・・。」
仁「あ、れ?電気、ついた・・・」
千里「ショールームですか?」
仁「う、うん。」
千里「振り返れないですね。もう・・・。」
仁「き、消えた・・・。」
千里「消えた?んですか?」
仁「鍵かかってるから、誰も・・・。」
バンっ!
千里「きゃぁっ!」
仁「さ、千里ちゃん」
千里「ご、ごめんなさい!抱きついちゃって・・・。で、でも怖いんで、腕に抱きついててもいいですか?」
仁「そ、そか。で、でも、ど、どうしよう。音、近づいてくるし・・・」
千里「廊下、歩いてますよね・・・。く、靴音してるし・・・。」
仁「入ってきたらどうする?か、隠れよう!」
がちゃっ!だんっ!(ドアが勢いよく開く音)
千里・仁「う、うわぁ~~~~」「た、たすけてぇ~」
警備員「社員の方ですか?」
仁「はいっ????」
警備員「警報発報しましたので緊急対応で来たんですが」
千里「け、警備会社さん?」
警備員「はい。困るんですよねぇ・・・。ロック解除されないと。じゃ、異常なし、ですね。伝票、サインしてもらえ・・・」
千里・仁「は、ははは、はははは、あはははっ!よかったぁ~」
千里「死ぬかと思ったぁ」
仁「お化けじゃないんだ!よかったぁ」
警備員「よくないですよ。まったく・・・。」
仁「あー。す、すいません。でも解除したけどなぁ・・・。と、ところで、里美ちゃん、腕・・・。」
千里「腕?」
仁「抱きついたまま・・・。」
千里「もうちょっとこのままでもいいですか?」
仁「え?」
千里「嫌ですか?」
仁「全然!全然嫌じゃない」
千里「ほんとに?じゃ、ご飯つれてってください!」
仁「ん?あ、うん。そだね。もう今日はやめにして一緒に行こうか」
千里「やったぁ!!」

里美「千里、昨日の夜、仁さんとご飯いったんだって?よかったジャン」
千里「うん!」
里美「ちょっと!どうやって口説いたのか話なさいよ!」
千里「え~!内緒!」
里美「あー!散々相談しといてそれはないんじゃない?話なさいよ!」
千里「あはは。うん。仁さんが警備のロック解除忘れたらしくて。」
里美「解除忘れかぁ。」
里美「警備員さんが来ちゃうでしょ。」
千里「それを二人ともお化けだと思ったのよ。」
里美「で、抱きついたわけ?」
千里「そのまま告っちゃった!」
里美「ふ~ん・・・。」
千里「??なに?なに?ふ~んって?」
里美「あのさ。警備の履歴」
千里「何?」
里美「この報告。昨日の夜の警備の履歴」
千里「それがどうかしたの?」
里美「異常なし。警備員、来てない・・・。」