【1st Set|2018/07/08(Sun)|TOSHI YANAGI PRESENTS ALL STAR JAM NIGHT】

7.8 (日)ALL STAR JAM NIGHT @Blue Mood 汐留 1st Set ALL

【1st Set|2018/07/08(Sun)|TOSHI YANAGI PRESENTS ALL STAR JAM NIGHT】

去る、2018年7月8日、東京都汐留にある[Blue Mood]にて、LAで活躍する日本人ギタリスト Toshi Yanagi の来日LIVEが行われた。

Toshi Yanagi 氏の帰国に合わせて開催されているこのLIVEは時期は違っても毎年恒例のようになっている。

ジミー・キンメル・ライブ!』 (Jimmy Kimmel Live!) (アメリカのABCテレビで放映されているトーク・ライブ番組。司会と企画はジミー・キンメル。収録はロサンゼルス・ハリウッドにあるエル・キャピタン劇場で収録される。放送時間は平日夜11時35分から。)の生放送でギタリストを務めるToshi Yanagi 氏は、なかなか決まった日程での休みが取れない様子。番組次第、=アメリカ版「いいとも」のタモリさん的ジミー・キンメルの生演奏だからそれもそうかと。
このため、来日公演後、放送があればとんぼ返りする過酷な日程の中、日本のファンたちの為に毎年貴重な時間を割いてLIVEを予定・実施してきている。
逆にファンがジミー・キンメル・ライブを見に行く手があるが多分いいとも以上にチケットが✋に入りにくいだろう。人気番組なのだ。
日本でもどこかの専門チャンネルで枠を取ってくれないものだろうかと望んだりする。

Toshi Yanagi氏は、矢沢永吉のバックバンドのバンドマスターを10年務めていた。筆者にとって矢沢永吉といえばNobody。

(この辺りから散文になるのだが…)
国内で圧倒的なRockパフォーマンスを見せつけたあと、矢沢永吉がその音楽的な飛躍のために渡米した。
その際、Carolから独立した「矢沢永吉」ブランド創業時の仲間、木原氏と相沢氏は日本に残される。連れて往くわけには行かないだろうからもちろん当然ではある。
残された結果、矢沢永吉初期の代表格のサウンドメイキングをしていた二人は「矢沢永吉」ブランドのためではなく、自分達のセルフプロデュースをせざるを得なくなった。Nobodyとして「やらざるをえなかった」のか「単独で動く立場を得た」のか。30代デビューは遅咲きだろう。
Nobodyファンとしてはどちらにしても嬉しい。
矢沢永吉が新しい音楽的発展例えばドゥービー・ブラザーズ=アメリカを目指した間に、Nobodyはビートルズ派生のイギリスの音楽と当時台頭を始めたクラブサウンド・ニューウエイヴを日本に持ち込んだ。元々矢沢永吉がビートルズ大好きだった訳で、木原氏相沢氏が矢沢永吉の眼鏡に叶ったのも二人がリバプールサウンドを奏でられるミュージシャンだったからだ。
二人は自然にその延長を走ることになる。

機械音楽とギターサウンドの融合がヒット曲を大量生産した礎に、なった。

一方、アメリカは、むしろ黒人派生のブルースからビリー・ジョエルのようなメロディラインとリズムの融合が進み、リズム&ブルースが変革を遂げ、AORの台頭まで一気に進む。もちろんサンタナ的情熱サウンドを奏でていたメンバーが組んだジャーニーのようなメリハリの効いたサウンドも産まれている。当時は産業ロックと言うくくりかたもされていた。

イギリスがパンクやダンスミュージックとニューウエイヴオブヘヴィメタルなどの社会的背景を表現する音楽が発展する方向性だとすると、ボズ・スキャッグスやTOTOが産まれるアメリカはどちらかと言うと演奏技術的な点で楽器と真正面から向き合っている様に思える。

かつてヨーロッパでクラシック音楽が楽器の演奏技術を当たり前のように求めた様に、ファッション性よりも純粋に楽器演奏をどう発展させられるか課題を持っているイメージだ。
もちろんプログレッシブロックはどの地域でも盛り上がりを見せているし、「演奏のうまいやつはかっこいい」と言う話は地域性を問わない。日本にもその潮流があった。キングクリムゾン・ピンクフロイド・ELP・YES・RUSHなど、コアなファン層は日本にも大勢いる。

アメリカにはそういう楽器演奏能力的要素を求める傾向が強い。対してヨーロッパはクラシカルな側面で有名なコンテストが多い。兄の同級生=近所のお姉ちゃんである河合優子女史がショパンの弾手第一人者としてポーランドに在住して演奏活動をしていることも筆者のわかりやすい自慢の一つである。彼女の存在は筆者にとってはピアノを子どもの頃に学ぶモチベーションにもなっていた。残念ながら筆者は上達しなかったが。

Jazzはアメリカで生まれた。卒論にも書いたが、アメリカ黒人文化を考察するに、文化の摩擦が生んだ音楽。その代表格がJAZZだろう。
時代は違うがJAZZの世界にも秀でた日本人アーチストがいる。ギタリストの増尾良秋氏も単身ニューヨークへ渡った。
可能性を求めて行ったわけではなく、行くことが当たり前だった。帰りの運賃はないから帰れないし、とも言っていた。
既にYAMAHAコンテスト出場きっかけで渡辺貞夫バンドで活躍していた増尾氏の渡米費用を地元岡崎のDR.JAZZ内田氏が「全額出資」している。(そのことがきっかけで筆者はお会いできた)ソニー・ロリンズバンドでギターを弾くのは渡米してからすぐの事である。
現在は国内でLIVE活動を精力的にしている増尾は、JAZZのみならずFUSIONの世界を牽引した立役者の代表格だ。

アメリカにはシンデレラなんとかがある。行けば何とかなるわけではないが行かないと得られないチャンスがあることは間違いない。
筆者の大学の後輩、軽音楽部SESSIONで一緒に時を過ごした平井堅氏。カラオケ屋で彼に「腹式呼吸ができてない!」とか「もっと張りのある声で歌え!」とか今になっては暴言を吐いていた(笑 ※当時はただの後輩ですから)もちろんだが飯を食いに行く店被りは同じ大学に通っていれば当たり前。それにしても顔を突き合わせる機会は多かった。当時彼と同じ学年の女子と清い交際をしていて、そのつながりも大きかった気がする。

「歌いたいんですよ。どうしたらいっぱい歌えますかねぇ」と相談された時に「ハコのヴォーカリスト募集してるから応募してみたら?」と言ったらすぐにロカビリーバーのバイトを探してきて報告してくれた。そういう行動力は当時からしっかり持っていた。彼は在学時代にSony Music Entertainment Audition -Breath-に応募、7500人の中からファイナリストに選ばれ受賞を果たす。筆者がもしそんな状況になったらその時点で大学をやめて音楽の道に行くのではないか。しかし彼は「ちゃんと大学は卒業するってお母さんと約束した」ので、そのまま在籍していた。
卒業後、デビューするも、しばらく中途半端にしか売れない時代があった。とはいえ、関東の深夜のテレビ広告枠では平井堅ばかり流している時期があって、何とも言えないむずむずする感覚でそれを見ていた。
 (深く書かないが筆者も某コンテストでCDを出すところまで話が進んで、その内容がなんともいえずお断りしたことがあるので、本人の意思とは関係ない”売られ方!をしているよな、と感じた点でむずむず聴いていた。後に電話で話した時に、「次が売れなければクビと言われたからもう勝手に自分のやりたいように最後だと思ってアルバム作ってます」と言っていたから本人もむずむずしていた時代なんだろうと再認識した。)

彼は世界各国のコンテストに応募してその実力を試していった。実力で生き残るアメリカ的発想の中で、自分を認知してもらいたいと考えるアーチストは多い。平井氏もアメリカのカーネギーホールでアカペラをまるっと一曲披露した逸話がある。

同じ世代の人ならヒット曲の中にもアメリカへの憧れを歌ったものが多いことを実感できる。
アメリカへの夢、はチェッカーズも歌っている。

Toshi Yanagi氏。(※詳しくはオフィシャルホームページをご参照ください。http://8thnoise.com/
氏は幼少の頃から、ピアノ・ヴァイオリン・オーケストラなどの音楽教育を受け、エレキギターに目覚める。
本人は19歳で単身L.A.に渡米。現在まで日本人でありながらも米国を中心に演奏活動を行っている。

その先にはファッションメインではなく演奏技術的な要素を求めた在り方が垣間見える。
もちろんファッションも込みだが、例えばギタリスト憧れのSteve Lukather氏には、「なんでもいいから弾かせろ」的な、演奏したいと言う演奏家の本質があるように思える。
これを真に受けて筆者も(アマチュアとはいえ)多重録音する際一曲録りだ。いちいち小節ごとに弾いていたら楽しくもなんともない。第一ノリが出ない。
「演奏することが楽しい」から演奏しているのに、下手だからブロックごとに弾く、というのは練習の時だけで十分だ。

筆者は元々鍵盤をやっていた。そもそもはデビットペイチに憧れていた。
例えば”I Won’t Hold You Back” のイントロから流れるピアノの真似をしようと思ったが、最初はさっぱり何を弾いているのかわからなかった。
その美しい曲はSteve Lukatherが書いている。

他の曲も同じだ。
コード進行も謎だし、メロディーが重なる発想もなぞ。どうしてそこでコーラスが入るのか。展開がどこに行っちゃうのか。リズム感もシンコペーションや頭落ちが多用されたかと思うとずっとループする曲もある。中学の同級生に教えて貰ったTOTOは謎だらけだった。
ナゾは興味を惹く。しりたいわかりたいやりたい、となる。

バンドを組んだ時にたまたまドラム担当になったことから、Jeff Pocaroも真似するようになった。演奏技術のレベルがすごすぎる。
結局、ハーフタイムシャッフルは叩けないまま。(叩けているとお世辞を言ってくれる人もいたが自分的にはできていなかったと思う。ドラムは若い頃に10年ぐらい叩いていた)
本気でやるならアメリカへ行っていればよかったのだろうか。

そして。
いろんな楽器がある中でギターを選んでこなかった筆者が、ギタリストと名乗ったのは、Toshi Yanagi氏がいたからだ。
もちろんギターという楽器の初心者、ではないが、決して自分をギタリストとは言ってこなかった。あくまでも歌う為の伴奏をしているだけ、という感覚だ。
Toshi Yanagi氏に会った翌月に、氏がLAで兄弟のように付き合いがある、Jeff Babko氏が、Larry Carlton & Steve Lukatherの来日公演のアシストで鍵盤を担当、名古屋ブルーノートに来た。「是非見に行って」とToshi Yanagi氏が言ったおかげでSteve Lukather本人にお会いする機会に恵まれた。Jeff Babko氏が楽屋に入れてくれたからだ。
ギターの神様、Larry Carltonとも会えた。Carltonの息子さんのTravis Carlton・当時TOTOのメンバーだった、Keith Carlockとも会えた。カンゲキである。
それを機に、ギタリストと名乗り、Steve Lukatherモデルのギターを買い、練習をしてセッションLIVEも来月参加する。
筆者の中ではホットなエピソードを連れてきてくれるのが Toshi Yanagi氏なのだ。
その時に地元のオカザえもんのフラッシュメモリーをプレゼントしたが、アルバム制作の際のデータまとめに活用してくれたらしい。
(色が「白黒」デザインで、他のフラッシュメモリーのごちゃごちゃした中でもわかりやすかった、という現実的な理由らしい)

さて。
いろいろと薀蓄を書いてきたが、実は薀蓄はいらない。
いろいろな憧れを夢で終わらせずに行動して来た男のギターには説得力があって、それだけで蘊蓄は要らない。
聴けばわかるし、納得してしまう。

そして、勝手に自分たちの想いを投影するのは憧れと言う感情の本質だ。
Toshi Yanagi氏の物語はまだまだ終わらないし、その「投影=勝手な押しつけ」は増えていくだろう。
憧れられる方は迷惑極まりないだろう(笑)

「本当はそうじゃない、とわかったとき」に憧れは消える。
恋愛もそうだと思う(笑)
勝手に憧れるファンの妄想を、今回も音の説得力で掻き立ててくれる存在が、ヒーローなのだろう。

7月8日(日)に行われたLIVEは、2018年日本でのLIVE日程の2日目。1日目は目黒のBlued Alley Japanで前日の7月7日(土)に行われた。北島健二氏がスペシャルゲストとして参加している。

スペシャルゲストの吉田栄作や、国内屈指のプレイヤーがToshi Yanagiを中心にイベントバンドを組み、演奏を行った。ベースの原健氏、キーボードの草間信一氏、セッションドラマーの長谷川道夫氏と昨年のメンバーとは趣を変えてライブを展開。
(昨年までは、Super Junky Monkyのリズム隊であるベース:かわいしのぶ女史・ドラム:TSUTSU女史とギタリストにL.A.渡航勉学時代の仲間、松田 肇氏のスペシャルバンド)

加えて、L.A.から海を渡って、Vocalist Rikiya・サックスプレイヤーのUKOが参加。前年のセミナー出身者から、ギタリストのレン君(20歳)が音楽活動の仲間としてステージに上がった。3人とも若手だ。レン君はこの後ギタリストとしての道を歩むことを決めており、ご両親も会場で見守る中、プロで通用するに足るその確かな演奏技術を披露していた。筆者が聴いたところによると、お父さんも昔はバンドマンだった、とのことで音楽の素養は十分ありそうだ。

(筆者にはその環境がなかったので素直に羨ましいと感じた。と同時に、自分も20歳の時に母親と母親の学生時代の友人二人の3人組がLIVEに来て、しかも一番前に座られて「どうしたものか」と思ったことを思い出した。)

Rikiya君の声も曲も⤴️⤴️とても良かった。聴いて頂くとわかるのだが気持ちがこもっている。
うまい下手よりも気持ちが入っていることは聴く側にとってはとても大きな要素だ。
歌い方のクセみたいなものもあって面白さも感じる。

サックスのUKOさん。
Toshiさんが楽しいエピソードをMCで披露してくれたので是非見て確認を♪
肝っ玉の座り具合は美人度に反比例しないようだ。二物を与えた神がバックに付いていそう。きっとファンも多いだろうと初対面ながら思わせるに充分な風格すらある。

当たり前なことを書くのだが、音程とリズム感の良さは「海外経験者」ならではなのかな、と思う正確さと入り方の上手さが心地よかった。
残念ながら収録ではあまり音が大きくないので別の機会にも是非聴いてみたい。

さらには隠し玉的目玉的企画で、2ndSetでが、スクラッチ―ズ・KIKOがデビュー(Yanagi氏の次女)。
ピンクのストラトタイプのギターを背負って、重厚なリズム感・堂々たるフレージングの演奏で観客を魅了した。今回の動画にはまだ。

今回の動画はそのLIVEのFirst Set。Second Setはまた後日の案内となる予定。

また、Toshi Yanagi氏のLIVEでは、録音録画を禁止していない。
それぞれがToshi Yanagi氏のプレイを熱心に研究、師として技を盗もうとしている。
渡米して身に付けたアンサンブル力・作曲のセンス・リズム感は同じ日本人であっても再現するにはかなりの努力が必要な事と、変幻自在の切り出されるフレージング能力は度重なるこれまでの有名アーチストとの共演経験がなせる技だろう。録画し、宝物にしたからといって、簡単には盗める様なものではない。が近づこうとするファンやセミナー出席者、自称弟子などへのあり方は寛容だ。

【1st Set|2018/07/08(Sun)|TOSHI YANAGI PRESENTS ALL STAR JAM NIGHT】
1st Set 2018/07/08(Sun)|
TOSHI YANAGI PRESENTS ALL STAR JAM NIGHT
inBlue Mood

【ライブ詳細】
主催者: Toshi Yanagi
2018年7月8日(日) 18:00 – 20:30
Blue Mood 〒104-0045 東京都 中央区築地5-6-10 浜離宮パークサイドプレイス1F
7.8 (日)ALL STAR JAM NIGHT @Blue Mood 汐留 Open 5pm / Start 6pm
【出演者】
Toshi Yanagi (Guitar) Kiko Yanagi(Guitar) 原健 (Bass) 草間信一(Keyboards) 長谷川 道夫 (Drums) Andrea L. Hopkins-Borroni (Vocal & Chorus) 吉田栄作(Vocal & Acoustic Guitar) Chris Whatley(Vocal&Chorus) レン(Guitar) UKO(sax) Rikiya (Vo) Tomo from Da Pump (Dance)

【1st Set list】
Start Me Up / Long train running / Let’s Dance / The Best / Don’t Look Back In Anger / Rollover D.J. / You are my baby / Sweet Emotion / Runnin’ Down a Dream
【Special Thanks】
Video Record & Sound Record :Kimiyuki Kijima

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